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わたしも負けないように勉強にスポーツに頑張った。
家計に負担をかけたくなくて、アルバイトに勉強に……。
学校も行きたかったから、奨学生になって。
大変だったけど、パパのこの笑顔がもらえるのなら……。
「智鶴(ちづる)はほんと、パパが大好きなのね」
助手席のママ、優しい笑顔でミラー越しにわたしを見ている。
一Kのアパートに戻り、いつもより少しだけ豪華な夕食。
小さなケーキにろうそくを立てて、部屋の明かりを消してろうそくに火をつける。
「Happy Birthday~」
パパとママが歌ってくれる。
わたしはうれしくてにこにこして。
ふぅ、とろうそくを吹き消す。
そんな些細な幸せが……数時間後にすべて消え去ってしまうなんて。
わたしはその時、思いもしていなかった。
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