【プロローグ】

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「早く!」  わたしは声をあげた。  と同時に。  みしみしみし、と嫌な音を立てて……。  屋根が崩れ落ちた。  パパとママの恐怖に満ちた表情。  それとともに、炎はますます大きく火の粉をあげて、パパとママを飲み込む。 「いやー! パパ、ママ!!!!」  暗闇を照らすのは、パパとママを飲み込んだ憎い炎。  わたしが飛び降りた場所は裏庭で、だれもいない。  わたしはひとり、憎い炎に向かって絶叫するしかなかった。 「パパ! ママ!!!!」
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