―双―

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「えぇ…。」 目の前の墓を見つめながら静かに頷く。 「ごめんね、桜…。こんなのしかなかった…。」 静かに墓前に寒桜の蕾を置く。 「ごめん、鶫…。もう行く…。」 スクッと立ち上がり、鶫に背を向けた。 「あぁ。」 ―絶対に敵は討ってあげるからね、桜…!!― 鶫は椿の後ろ姿を見送りながら呟く。 「…死ぬなよ…?」 その時吹いた強い風と共に椿は消え、鶫の声も掻き消された。 .
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