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恐る恐る一口をスプーンで掬って食べてみる。
味付けは塩だけと実にシンプルだったが、それはとても美味しくて。
二口目、三口目と手は止まらず、気が付くと私はそれを完食していた。
食べ終えた私は静かにスプーンをテーブルの上に置いた。
「どうやら食べ終えたみたいですね、お口には合いましたか?」
頃合を見図らってシモンは私に話し掛けた。
周りを見るとまだ他の二人もいた。
ずっと私が食べ終わるのを待っていたのだろうか。
私はシモンに向けて美味しかったという気持ちを込めて一つ礼をした。
「それは良かったです」
どうやら伝わったみたいでシモンは嬉しそうに微笑んだ。
「では、もう夜にもなったので休みましょうか。さっきの部屋を使って下さい。場所は覚えてますか?分からないならセシルに案内させますが……」
「なんで僕?」
「ノアは……ほら、今寝ちゃってるみたいなので」
見るとノアは椅子に座ったまま目を瞑っている。
肩が規則正しく上下していた。
「先にベッドに行けばいいのに……。
……はぁ、分かったよ。アリア付いてきて」
セシルは私の名前を呼ぶと席を立ち、先に扉の方へと向かっていた。
「おやすみなさい。アリアさん」
セシルに次いで部屋を出ようとした私にシモンは優しく微笑んだ。
私はそれに対して頭を下げ、扉をの向こうに消えた。
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