魔術師たちの友人

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「セシル……もうその辺にしておけ。シモンに脅したなんてことがバレたら大変だぞ」 突然割って入った声にセシルは弾かれた様に振り向く。 私もセシルにつられて扉に目を遣るとそこにはノアが立っていた。 「……脅したなんて人聞き悪いなぁ。僕はただ忠告していただけだよ、ね」 (ね、って私に同意を求められても……) 困ったような反応しか返せないでいると、セシルは軽くバカにするような笑いを残して私から離れ、ノアのもとへ向かった。 「今度こそじゃあね。おやすみ、アリア」 セシルは挨拶をして、そのまま去って行った。 ノアも行く前に一言私に告げる。 「セシルが悪かったな。 だが俺も同じことが言える。無いとは思っているが俺たちの居場所をばらそうなんて考えるなよ。 ……じゃあ、おやすみ」 そして次いでノアが扉を閉めると、遠ざかって行く足音が聞こえた。 部屋に残された私は緊張が解けたのか一気に力が抜ける。 それでも気力を振り絞り、ベッドまで行くとそのまま倒れるようにして体を沈ませた。 溜め息をひとつ溢す。 そして私は瞼を綴じた。 今日の出来事を頭の中で反芻させる。 目覚めた時に現れた青年。 ―シモン 彼は礼儀正しく私を丁寧に扱ってくれた。 食事を待っている時に現れた二人。 ―ノア 彼は無口でほとんど無関心に見えたけど、一番私を驚かせたと思う。 ―セシル 兄たちの前だとあれほどに可愛い一面を持っていたけど、時折みせる冷たい笑みが怖い子だった。 森に逃げている時に出会った青年。 ―ロダン 魔術師たちを怖れずに友人と言ってのけた元勇者。 彼のお陰で安心を得られたのは言うまでもない。 「――………」 いつまでここに居ることになるか分からないないし、まだ少し不安は残るけど、私はここに置いて貰えることに心の中で密かに感謝しつつあったのだった。
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