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―ﾄﾞｯ!!
鈍い音が響いた。
けれども痛みはいつまで経っても感じない。
不思議に思って目を恐る恐る開けてみる。
すると――
父が瞳を見開いて
何が起こったのか分からないという様子の顔のまま
崩れ落ちた。
倒れた父の後ろからは
血に塗れたナイフを持って
父の返り血を浴びた
息を切らす母の姿があった。
母はしばらくするとガタガタと震え出し、ナイフを取り落とした。
そしてそのまま息絶えた父に近付きゆっくりとしゃがみ込む。
床には血がどんどんと広がり、私の足下を紅く濡らしていた。
それでも、足が床に張り付いたまま、母の姿を見ていた。
母は父の体を抱きおこし、見開いたままの目を綴じさせる。
そしていつの間にか震えが収まっていたのか、落ち着いた声で語り掛けた。
《アレン……ごめんなさい。でもアリアは私たちの大事な娘でしょう？
……守るためにはこれが一番良かったのよ
――アリア》
母は私の名前を呼ぶと私と目を合わせ、フワリと微笑んだ。
《アリア、あなたは要らなくなんてないわ。あなたは私たちに必要とされたからこそ生まれてきたの。
アレンもきっと…本当はそう思っていたはずよ》
その時私は母の言葉に、次の行動に突如涙が溢れた。
《――ごめんなさい、アリア。だけど私もこれ以上あなたとは一緒にいられないの……》
母の手にゆっくりと視線を移すと、二度ナイフが握られていた。
母は目の前で、
父の体のすぐ側で、
そのナイフを自らの胸元に狙い定める。
そして――
《アリア……ごめんなさい。
でも、あなたのことは本当に愛して…いたわ……》
涙を一筋溢しながら、
それを思い切り――
『――ちょっと、一週間で舞台に立たせるなんて無茶すぎるんじゃないかい！？』
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