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「…リア……アリアッ!!」
飛んでいた思考はセシルの呼ぶ声で引き戻される。
私は目の前に座るセシル、そしてその横にいるノアの顔を見た。
「どうした? さっきから食事の手も進めずにボーッとしたりして」
「そうだよ。さっきから僕が話し掛けてるっていうのに全然反応しないなんて……。
この前からずっとその調子じゃないか?」
どうやら二人も私の体調を気に掛けてくれているらしい。
目が合うとそれぞれに口を出してきた。
私はスプーンを置くとシモンの時と同じように心配はいらないという意を示した。
――この二人とも随分打ち解けたと思う。
やはりここに住み始めた当初は中々上手くいくことが少なかった。
ノアは時折反応を示してくれるくらいで問題は少なかったのだが……。
セシルは始め、警戒心を表していたからだろうか。
言葉は棘々しく、私の反応に対してもよく噛みついてきていた。
そんな二人とは今ではよく一緒に食事をとっている。
――シモンに言われたからだけど。
けど、そのお陰でセシルの棘々しい態度は大分丸くなったと思う。
ノアは置いといてとして。
食事を終えた私はそのまま立ち上がった。
――と、
「――……っ!?」
グラリと視界が揺れ、倒れそうになった私は咄嗟にテーブルに手をついた。
「ちょっ…本当に大丈夫なの!?」
目の前だから当たり前だが、その光景はバッチリと見られたらしい。
セシルとノアは急いで駆け寄ってきた。
「顔色が悪い。少し休んだらどうだ?」
顔を覗き込んだノアが私にそう言った。
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