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(休もうとしても悪夢のせいで出来ないのだけれど……)
けれど、今自分がフラついたことで大分限界が近いことも分かる。
何度も繰り返し見る、過去の出来事。
いつもアノ場面で目が覚める。
夢の中はいつまで経っても気を休めることが出来ない。
(けれど、もしかしたら今度は見なくて済むかもしれない……)
そんな淡い期待を抱きつつ、私はノアの言葉に従って部屋に戻ることに決めた。
◇◆◇◆
『さて、さっそく始めてみようと思うけど……アリア、アンタは歌を歌ったことはあるかい?』
座長と話してから次の日、ミリアおばさんはいくつか歌詞の載っている本を部屋にある机の上に積み重ねると、今更ながらに私にそう訊いた。
(歌……そういえばあまり歌ったことない。あるとしたら……)
そこまで考えると、またアノ場面が頭をよぎった。
『…――っ!!』
(お父さん…お母さん…――っ)
ミリアおばさんの所に置いてもらって大分環境が落ち着いてきたからだろうか。
アノ場所にいた時の恐怖と、目の前で大好きだった父と母が亡くなったことを思いだし、あれ以来麻痺して出なかった涙と、震えの感覚が一気に戻ってきた。
私は突然訪れた感情に任せ、涙を流した。
一粒、一粒。
頬を滑り落ちていく。
そんな突然泣き出した私を見て、
一瞬、戸惑いながらも
――ミリアおばさんは何も言わずに静かに私を抱き締めた……。
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