ずっと隣に在るもの

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2009年度の天てれ。 僕の隣にはもう、完全に頼れる先輩戦士がいない。 不安だなんて、僕には出来ないだなんて、言う暇ない。やらなきゃいけない、しっかりしなきゃいけない。 それが僕の役目だから。それが樹音からのバトンだから。 だけど頑張ろうと思えば思うほど、空回りして、先輩らしいこと出来なくて… 何度、唇を噛み締めたか… 「はぁ…」 「拓巳?」 「あ、千帆」 「隣、いい?」 「うん」 僕がぼーっとしていると、やんわりと微笑む千帆が僕の隣に座った。 やばいな、さっきのため息聞かれてなければいいけど。好きな子の前だけでもカッコ良くいたいし、ね? 「…拓巳、最近無理してるね」 「…え?」 「前みたいに笑えてないし、余裕がない。一人で何もかも抱えてるみたい。一磨もジーナも心配してる」 びっくりした。 それくらい僕、顔に出ていた?余裕なく見えた?笑えてなかった? 「ねぇ、みんないるよ?」 「え?」 「一磨もジーナもあかりも聖夜も、みんないるよ?私だって…っ」 千帆は何が言いたいんだろう。でも必死なのは伝わる。だって今にも泣きそうなんだもん。 「いっぱい頼ってよ。私、拓巳の支えになりたいの」 ああ、そっか。僕は一人じゃないんだ。 こんなに頼れる仲間がいる、こんなに心配してくれる友達がいる、こんなに想ってくれる僕の好きな子がいる。 「ありがとう、よろしくね」 ―ずっと隣に在るもの― (あとね、拓巳が好きっ) (えっ!?……僕も) .
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