あのね

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「あ~、会いたいよぉ…」 「なら会いに行けばいいじゃないですか」 「そんなのアタシらしくない」 「なら、会えないですね」 「…冷血人間」 「うるさい」 収録が終わった後、翔太を引き止めて私の愚痴を聞いてもらっている。 なんで翔太かって? たまたま私と目が合ったからよ。← でも私の愚痴を冷たい言葉で返してくるもんだから、傷がどんどん増えてく。 いつからこんな冷たい子になっちゃったのかしら? 「そうやって愚痴ばっか言ってる間に、滉一くん、他の子に目移りしちゃうんじゃないかなぁ?」 「…っ!!」 横目で私の出方を待つ翔太。 知ってるのよ、こんな風にして私に喝をいれてくれてることくらい。 知らない間にやることがお兄さんらしくなっちゃって。 「…会いに行こ」 「そうでなくちゃ、らしくないですよ」 「うるさいなっ」 「ほら、早く行ってらっしゃい」 「…ありがと」 とりあえず感謝の言葉は伝えた。一応、背中押してもらったんだし… NHKを足早に出ると、迷いもなく大好きな滉一の元へ走った。 「滉一っ」 「…羅夢!」 ―あのね― (すんごく会いたかった) (うん、俺も) おまけ 羅夢が楽屋を出たあと、俺は携帯を取り出して、ある人に電話をかけた。 『はい、もしもし』 「あ、翔太ですけど…」 『おう、どうした?』 「今、羅夢がそっちに行きましたんで」 『えっ!?』 「それじゃ」 『お、おい…っ』 何か言いたげだったけど無視して電話を切った。 滉一くんは“会いたいけど山梨まで行く時間が作れなくてさ…俺振られるかも”なんて藍ちゃんに言ってたらしい… 全く。 世話がやけるよ、お二人さん。 .
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