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僕はテレビを見て、なんだろう。居ても立ってもいられなくなった。
今すぐにでもメロディーに会いたくて、家を飛び出した。
「メロディーっ!」
「あ、瀬南来たっ」
公園に呼び出しておいたメロディーは、同い年とは思えない、なんとも可愛い笑顔で僕に手を振る。
不安なんて、吹き飛んでしまいそうなくらい。
「今日はどうしたの?瀬南からの呼び出しなんて珍しいねっ♪」
“メロ、嬉しくて走って来ちゃった”なんて、また可愛いことを言って、また僕の心を掴むメロディー。
どんなに離れていても、好きだって気持ちは変わんない。
むしろ日に日に想いが募る。
「メロディー」
「ん?」
「おしかけ歌謡ショーだっけ?見たよ」
「ほんと?どうだったーっ?」
良かったよ。
メロディーの歌声は、あの日と変わらず、いや、あの日よりもずっと上手くなっていて、心暖まる。
だけどね?
「あの男の人たち、メロディーのこと好きになってないよね?」
「…へ?」
皆、メロディーのことを可愛いだなんて、口々に言っていて、僕でさえも言えないのにって不安になって…
バカみたいなヤキモチだと思うけど、会えない分の不安は大きくて。
「瀬南はバカだなぁ。そんなことないよ」
「…バカじゃないよ」
「ふふっ。万が一、そんなことがあってもメロは瀬南だけだよ」
メロディーはそう言って、僕の胸に頬を寄せて、抱きついた。
メロディーのすることには、いつも驚かされて、胸が大きく跳ねるけど、今日は抱き返すことにした。
―そよそよと―
(穏やかな風が)
(僕とメロディーを包む)
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