花嫁になるには

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“僕、樹里亜が好き” 夢にも思ってなかった奇跡が起こって、今日は久々のデート。 久々に大好きな聖斗くんと会って、ゆったりとした時間を過ごすの。 聖斗くんとのデートは、たいてい図書館か紅茶の美味しいお店で数学のお勉強。皆はイヤがるけど、私は聖斗くんと居られたら、それでいい。 なのに、今日のデートはいつもと違った。 映画へ行って、いつもはデートで行かないファーストフードで昼食、その後は街中をブラブラと歩いて散歩。 聖斗くんらしくない、いつもと違ったデート。 「ねぇ、聖斗くん?」 「ん?」 「今日は紅茶の美味しいお店には行かないの?」 「え、うん」 やっぱりいつもの聖斗くんらしくない。 「どうして?」 「へ?」 「いつものデートじゃないから、なんでかなと思って」 「…いやぁ、こんな当たり前のデートをさせたことなかったし」 “本当はこんなデートが好きかと思って”なんて嬉しいことを言ってくれる聖斗くん。私は本当に幸せ者。 街中を歩いてると、道端で見つけた可愛いリング。それを見つめてると… 「これ一つください」 「え、聖斗くん?」 「これくらいなら買えるから。ギリギリ6月だし、きっと幸せになるよ」 「え?」 「6月の花嫁さん」 “ほら、手出して?” 少し照れたように言う聖斗くんが本当に大好き。 ―花嫁になるには― (まだまだだけど、) (きっと二人幸せになるよね) 「聖斗くん」 「なに?」 「紅茶の美味しいお店、行こ?」 「え、いいの?」 「うん、私もあの店大好きだから」 そう言うと、照れた笑みから嬉しそうな笑顔になる聖斗くんにまた恋をする私なのでした。 .
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