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今日は夏祭り。来るつもりはなかったんだけど、千帆と瀬南がどうしてもって言うもんだから来てしまった。
人混みは苦手だ。だけど、屋台を遠くからぼーっと見つめるのは、なんだか好き。
思い出すんだ、あの日を。
ってか、あの二人遅いなぁ…
待ち合わせ時間は確か、7時。で、今は7時半。もうここであの二人を待って30分が経つ。
待ち合わせ場所から見える祭り場の灯りはキレイで、やっぱり好きだなって思う。
「…ん?」
祭り場から少し離れた所でキョロキョロとしている浴衣の女の子、見たことがある。
というか…
「…あかり?」
俺がそう呟くと、聞こえたかのように振り向く浴衣の女の子。
「あーっ、翔太っ」
「…あ、久しぶり」
「本当に久々だね、元気だった?」
笑顔で話すあかりは全く変わってなくて、またあの日の気持ちが溢れる。
ああ、まだあかりのこと好きなんだって思った。
「ってか、翔太一人?」
「や、瀬南と千帆を待ってんだけど」
「へ?さっきまで二人といたんだよ」
「…え?」
あかりの話によると、千帆と瀬南と一緒に祭りに来ていたらしい。そして二人でかき氷を買いに行ったっきり帰って来ないとか…
完全にハメられた。
「かき氷食べたいのに~、迷子になったのかな?」
未だ瀬南たちの姿を探してるけど、きっと見つかんないよ、あかり。
「翔太も一緒に探そうよ」
「…待って、」
「?」
─これが最後の─
(チャンスだと思うから)
千帆たちとはぐれたなんて嘘。
ウチが翔太に告白したくて、千帆や瀬南に手伝ってもらっただけ。
いざ翔太を目の前にすると言えなくて。
だって、ウチより背が高くなってるなんて、こんなにカッコ良くなってるなんて、聞いてない。
なんだか恥ずかしくて、千帆たちを探しに行こうなんて言っちゃった。
すると、翔太に腕を掴まれた。
…期待してもいいのかな?
おわり
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