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「えっと福岡の県立第四高校ね。期末テスト学年一位……あなた凄いわね」
おそらく神裂の入学手続きの際に記入した物を見ているのだろう。
「……はあ。そうなんですか」
「あら? 神裂くんよね?」
何か気になる点でもあったのか神裂を見つめてきた。
「はい」
急になんだと神裂は首を傾げる。
「保護者の欄の名字が……」
「二人とも死んでます」
「…………十年前に亡くなってるのね。ゴメンなさい」
「昔の話ですよ」
「そう言ってもらえると助かるわ。じゃあ先に教室に行っててちょうだい」
「分かりました、失礼します」
玄関ホールに戻ると登校する生徒が増えてきたのか人で溢れていた。
(七時四十五分か。この時間帯がピークなのかも)
ホール内の階段が隣接した右側にある廊下には、どうやら別の校舎につながっていて部活動のための旧校舎らしい。
汗まみれの生徒がたくさん出てきた。
さらに辺りを見渡すと階段の手前には購買部、突き当たりに(コンパスの持つ部分)学食がある。
そんな風に見学していたらチャイムが鳴る。
のろのろと歩いていた生徒が早足になったので神裂も急いだ。
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