帰ってきた場所

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現在八時十五分。 神裂は転校初日から廊下で立っている。 全国の転校生につきものの、自己紹介のために廊下で待っているのだ。 僅かにだが教室の中から中山先生の透き通った声がしている。 「うるさいわよ! 昨日聞いたかも知れないけど転校生が来てまーす」 教室はザワザワしていてまるで話を聞いていない。 昨日、いや一週間ぐらい前から転校生の噂はたっていたのかもしれない。 「ほら何度言わせたら分かるのアンタたちは! まったく……あ、ちなみに野郎ども。転校生は男の子よ」 ブーイングが響く教室内。 分かりやすいクラスメイトたちに苦笑いをする。 中山先生も苦笑しつつ先を促した。 「じゃ、入ってちょうだい」
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