第一章 王の群れ

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「野郎、主人の物を盗みやがって…!みんな、奴を生かして帰すな!」 「おぉ!!」 猟犬達は灰色の狼の挑発に乗り、仲間から狙いを逸らした。これこそ、彼、灰色の狼の思惑だった。灰色の狼は猟犬達に追い付かれず、引き離さず一定の距離を保ったまま逃走した 「くそ~、ちょこまか逃げやがって…!」 「ふん、犬の分際で私の脚に勝てる気でいる……そろそろだな…」 灰色の狼は広い平原に出た途端、奇妙な走り方をした。走っては跳び、走っては跳びの連続。まるで野兎のようだ 「へっ、逃げられないと分かって、自棄を起こしたか!」 一匹の猟犬が灰色の狼に近付く。そして灰色の狼が跳躍した瞬間、襲い掛かろうと加速した 「貰った!」
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