31人が本棚に入れています
本棚に追加
「野郎、主人の物を盗みやがって…!みんな、奴を生かして帰すな!」
「おぉ!!」
猟犬達は灰色の狼の挑発に乗り、仲間から狙いを逸らした。これこそ、彼、灰色の狼の思惑だった。灰色の狼は猟犬達に追い付かれず、引き離さず一定の距離を保ったまま逃走した
「くそ~、ちょこまか逃げやがって…!」
「ふん、犬の分際で私の脚に勝てる気でいる……そろそろだな…」
灰色の狼は広い平原に出た途端、奇妙な走り方をした。走っては跳び、走っては跳びの連続。まるで野兎のようだ
「へっ、逃げられないと分かって、自棄を起こしたか!」
一匹の猟犬が灰色の狼に近付く。そして灰色の狼が跳躍した瞬間、襲い掛かろうと加速した
「貰った!」
最初のコメントを投稿しよう!