第Ⅱ話

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 しばらくすると落ち着いたらしく、二人でリビングに戻った。無言のままのイズをソファーに座らせて、俺は風呂に入ってくるから、と声を掛けた。ホンマは一人にしない方がえぇんかもしれない。正直に言えば、したくも無い。だけど俺にも考える時間が必要やった。多少なりとも。そしてそれはイズも同じことだと思った。  服を脱いで髪と体を洗い、その間に湯を張った風呂に浸かる。長く息を吐いた。  なんでイズは戻ってきたんやろか。よく未練が何とかって言うけど、それか?でも俺としては正直、そんなんどうでも良かった。  戻ってきたことが重要なんやから。  そして、ドアにぶつかったと思ったら次には何故通り抜けられるようになったか。これに関しては俺も少し思うところがある。  俺にはイズが見えとったし、話をしたりだとか、生きている時とほとんど変わらず接しとった。だから変な話やけど、イズには自分が幽霊やっちゅー自覚が足りひんかったんかも。  それでそこに現れたんが匡ちゃん。その匡ちゃんにはイズが見えへんかった。俺には見えるのに、だ。そこでイズは身に染みて理解したんやろう。自分が幽霊やっちゅーことを。  だからその後はドアにも――俺にも、触られへんかったんやと思う。あくまで一つの仮説やけど。
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