第Ⅱ話

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 俺にしか見えへんというのも、不思議な話や。何でやろう。……でも、イズは気付いたら俺の家の前やったと言った。  それは、一番始めに、俺に逢いに来てくれたっちゅーことや。これはきっと、自惚れてええんやと思う。  ……ヤバい、にやけてしもうた。  そこで風呂から上がり、体を拭いて服を着て、肩にタオルをかけたまま、リビングに向かう。  イズは、ソファーの上で眠っていた。ベッドに運んでやらなきゃ、と思って、やけど触れないから出来へんということに寸前で気付く。伸ばしかけた手を握り締めて舌打ちした。  それから、イズの頭がある方の肘掛けに腰を下ろし、イズをじっと見下ろす。ソファーの上に横になった姿は生前と全く変わらへん。  ……ん?ソファーの上に、横になった?  はっと気付いてみれば、イズは物の上に、乗っとった。ソファーに重い物が乗った証拠のへこみこそ無いものの、確かに、乗っていた。そういえば、床も足をつけて普通に歩いていた。(幽霊って足あるんやな!)やっぱり意識的なものの所為なんやろか。  ……解らないことだらけや。そりゃ、解るやつなんかおらんのやと思うけど。
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