第Ⅰ話

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 それは自分のことじゃないとすれば当たり前に起こっていると認識しているつもりになっているもので、いつでも危険と隣り合わせだといくら知識としては知っていても、本当に気付くのは後の祭りになってから。  私は、ただ普通に歩道を歩いていただけなのに、飲酒運転をしていた車に突っ込まれて救急車で病院に運ばれる途中、呆気なく死んだ。そしてそれから3日目の今日は私の葬式で、さっき私の体は焼かれて灰になったらしい。グッバイマイボディー、永遠に。  あぁ、なんてありがちな話。だけど、ちょっとあり得ないような話がここから続くわけで。  大体、“死んだ”私がこうやって自分の葬式のことまで知っているのはおかしいと思う人もいると思う。だけどこれは、受け入れることは難しいかもしれないけど、至極簡単な事実。  なんと私、幽霊になってこの世に戻って来ちゃいました。えへ。  『あ、ぶつかる』と思って反射的に目を瞑って、次にふと気付いた時には、彼氏である佐古尚(サコ・ヒサシ)の家の前で。(あ、もう元カレって言った方がいいのかな。)んで、何が起こったのか把握できずにそのまましゃがみこんで待ってたら、黒ずくめの彼が帰ってきて、そこでさっきの「何でここにおるん?」っていうセリフ。それからその続きには。
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