第Ⅲ話

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  *  *  * 「さてと、今日は俺学校行くんやけど、イズも来る?」  食後のコーヒーという何とも優雅なことをしながら、ひーちゃんが訊いた。 「学校、かぁー……」 「せや。イズは行ってもつまらんだけかもしれへんけど、俺としては一緒に来てほしい。どや?」 「んー。じゃ、そんなにひーちゃんが来てほしいって言うんなら、退屈な授業を受けに行ってあげてもいいよ?」  そう言って私はにやりと笑った。それに対しひーちゃんは、そんなに頼んでへんから、とか言いながらも、少しホッとしたような表情だった。  ……本当はね。  私は今、ひーちゃんとは離れたく無かった。いつ消えるか分かんないから。お別れも言えないのは嫌だから。……今度こそは。  だから一緒にいたかった。多分これは、ひーちゃんも同じだったんだと思う。  そうでなければこの人はきっと、あんなにすがるような目をしないはずだと思うから。   *  *  *
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