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学校で会うことなんて滅多になくて、会う……ううん、見るのは久しぶりだったんだけど……片桐くん、更に男前になったなぁ。
そんなことを二人の沈黙の内に考えていると、片桐くんが口を開いた。
「……イズの葬式以来だな」
「……あぁ」
そっか、片桐くんもきてくれたんだ。これって、「ありがとう」って言うところだよね?
だから私は、ありがとうって。片桐くんに向かって微笑んだ。そうしたら。
目が、合った。……気がした。
というかなんか、凝視されてるような……?!
そしてそのまま、また沈黙。今度のそれを破ったのは、ひーちゃんだった。
「何や片桐、用があって呼び止めたんちゃうん?俺、これから授業あるんやけど」
すると片桐くんは我に返ったように、
「……あぁ、俺もそうだ。だが少し話があるから、昼、一緒に食わねぇか?」
提案した。それに対してひーちゃんは、にやりと笑った。
「片桐のおごりならええで」
「何だ、図々しいところは相変わらずだな。けどまぁ、いいだろう。用があるのは俺だからな」
「おおきに。てか言ってみるもんやなぁ。……じゃあまた後でな、片桐」
「あぁ」
それからひーちゃんは歩き出して、私はさっきのように、いつものように、その少し後ろを付いていった。
背中にまだ、片桐くんの視線を感じているような気がした。
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