第Ⅰ話

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「いや、これは幻や。アイツは死んだ。イズは死んだんや。はよぅ現実を受け止めぇや、俺」、だって。  あ、やっぱ死んだんだ、私。ってことはひーちゃんのこの格好は喪服なのね、と。  彼が己に言い聞かせるようにそう言った瞬間、私はこの現実を意外にもすんなりと受け入れた。納得さえした。  それで次に思ったのは、今こうやって自分が死んだことを認識したり納得したりできる私という存在が、ひーちゃんの前に確かにいて、だけどそれは否定されようとしていて、そんなことさせてたまるかってこと。だから言ってやった。 「折角私は今ここにいるっていうのに、それはあんまりなんじゃない、ひーちゃん?」と。  その時のひーちゃんの引きつった顔を、私は生涯忘れることは無いと思う。……あ、でももう私は死んでるんだっけ。じゃあ何て言えばいいんだろう。   *  *  *
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