第Ⅰ話

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  *  *  * 「ホンマにイズなん?」 「うん。アイアム・イズ・シガ」  別に動詞が2つかぶったわけじゃないよ。私の生きてた時の名前が志賀イズであるってだけ。よくからかわれたし、私の名前を知らない英語教師には注意されたりもしたけど。  そう名乗ったけどひーちゃんはまだ信じられないらしくて、訊いてきた。 「ホンマにホンマ?」 「ホンマにホンマ」 「本っ当ーにホンマにホンマもんのイズなん?」 「だからそうだってば」 「ホン」 「流石にうざいよ、ひーちゃん」  気持ちは解らなくもないけど。  ――玄関の外、とりあえずフリーズしてみることしたらしいひーちゃんを促してマンション(どっちかって言うと億ション。このお坊っちゃまが!)の鍵を開けさせて、二人(?)で部屋の中に入った。そこでひーちゃんがぶつぶつとこの3日間を自分に確認するように呟いて、私はそれを聴いて自分の葬式の様子やなんかを知った。  放って置くとそのまま止まりそうになかったから、「あのー、オニーサン?そろそろこっちに戻ってきて下さらなーい?」としなを作ってウィンクを送り、そんな私にいつものように――生前のように引いた彼は、やっと少し今の私を認め始めたらしく、今の問答に至る。
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