第Ⅰ話

5/10
前へ
/24ページ
次へ
 うざいと言われてたことに対しショックを受けたらしい彼は少しの間放心していたけど(面白いなぁ、相変わらず)、何かを思い付いたらしく私に「コンビニ行くで」と言った。何を急に、と思わなくもなかったけれど、さっさと1人で玄関に向かってしまったひーちゃんにとりあえず従う。そして外に出ようとした瞬間、先に外に出ていたひーちゃんは、ドアを勢いよく閉めた。 「?!」  ドアにぶつかる、と思った。  だけど予想した痛みが私を襲うことはなかった。  しばらく呆然としていると、ドアが開いてひーちゃんが頭を出した。 「……ドアを通り抜けたりはしないんやな」  そしてしりもちをついたままの私に痛かったか?と手を伸ばす。 「幽霊やからできるんちゃうかなー思たんけど」  ……あぁ、試したのか。  私が幽霊だということを認めて、その上で。  とりあえず今の私の存在を認めてくれたのだとちょっと嬉しくなって、私もひーちゃんに向かって手を伸ばす。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加