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と、ひーちゃんの後ろで人が立ち止まった。そしてその人は、爽やかな声で挨拶した。
「こんにちはー、佐古さん。……ってあれ、どうしたんです?しゃがんで手を伸ばしたりして。鍵でも落としました?」
私も、ひーちゃんの肩口から顔を出した彼を知っていた。彼はひーちゃんのお隣さんで、匡介(キョウスケ)くんっていう子。ひーちゃんとは年が近いのもあって仲が良くて、お互いの部屋に行く事もあった。だから玄関を覗くぐらいはすると思う。
だけど。
私に気付かないのはおかしい。だって私は、ひーちゃんにくっついて匡介くんの家に行ったこともあるのだから。
すると、ひーちゃんもおかしいということに気付いたらしくて、
「匡ちゃん、俺今コンタクトしてへんのや。鍵、どっかに落ちとるか?」
と嘘を言って。そして、匡介くんが玄関の床の上に座り込んだままの私の方を見た。
でも。
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