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「……いや、無いみたいですね。無くしたんですか?ヤバいですよー……って、なんだ、自分の手で持ってるじゃないですか!やだなぁ、もう佐古さんたら」
ボケですか?と冗談めかして言った匡介くんは、一度も私の方を見なかった。というよりも、間違いなく見えていないんだろうって思った。イジメではないのなら。
それから匡介くんは、
「……ボケちゃうわ。悪かったな、足止めして。ほなまた」
と短く言い返したひーちゃんを不思議そうに見ていたけど、ひーちゃんはそんな匡介くんを気にする余裕が無いみたいで、そそくさと家の中に入って、「コンビニはもうええ」とため息を吐いた。
そしてぽつりと言った。
「ホンマに、イズは幽霊なんやな」
……うん、そうみたい。声に出さず、心の中で呟く。
私も、さっきの匡介くんの反応を見て、自分が死んでいて幽霊で、この世には物体的な意味ではもういないのだということがリアルに感じられていた。最初に自分で認めていたよりも、もっと。
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