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『金出せばヤラセてくれるらしいぜ。毎日、K街の何処かに出るらしいんだ。それに超可愛くて、超エロいらしいんだ。しかも超上手いらしいんだ』
あの友人の言葉がフラッシュバックした。
まさか、と頭の中でそれを打ち消した。彼女は幼い顔をしており、自分より年下、中学生位に見えるその顔を凝視した。すると彼女は困ったように首を傾げ、幼い声で繰り返した。
「私はいくらですか?」
その幼い声と機械じみた表情に不快感を抱いた。
「ごめん。意味がよく分からない」
そう言う他に上手い言葉が見当たらなかった。
「そう」
彼女は適当に返事をして、つまらなそうに俯いたが、前髪が目に入るのか、彼女は何度も髪をかきあげていた。
「髪切ればいいのに」
彼女の動作がかわいらしく、少し笑いながら言った。
「うん、髪、切りたいよ」
自分の毛先を指先で弄ぶように触りながら彼女は言った。 「じゃ一緒に行く?」
何を言っているんだ、と自問した。どうして自分がそんなことを口にしたのか分からなかった。瞬間的に気付いたら言葉が溢れていた。
彼女は一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐ笑顔になった。
「うん。一緒に行こう」
そしてその笑顔を見て、何故か懐かしい気持ちになった。
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