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「逃げる気ですか?怜」
ゆっくりとそう言いながら、沖田は肩を掴んでいる手を徐々に強くしていく。
顔は笑っているが、沖田は怜を逃がす気はないだろうということが、それだけで十分理解できた。
――最悪なんだけど……。
それより僕、悪いことした?
全部総司のせいで、こうなっている気がするんだけど……――
強く掴まれ過ぎて痛む肩。
それに顔をしかめつつそう考えてる怜。
こうなる前の出来事を思い出せば思い出すほど自分は悪くないような気がするのは気のせいではないだろう。
こうなってしまった原因の全ては沖田にある。
怜が恨みを込めて沖田を睨み付けたその時、
「朝木君。
そこに居るかい?」
どこかのんびりとした声が聞こえた。
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