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ふと、誰かに、呼ばれたような気がした。
理由はなく僕は、その声に誘われるように進んでいった。
その後はもう――
覚えていない
ただ何か大切なことを――……
……――忘れてしまったような気がした。
怜は目を覚ました。
最初に視界に入ったのは、木の天井。
「うっ……くぅっ……」
呻き声をあげながら、怜は上体を起こす。
身体に力が入らない。
――僕は、どれくらい寝ていたんだろうか……――
身体のだるさで、自分は一日以上寝ていたことが、何となくわかる。
怜は辺りを見渡して、ここが和室であるということだけは理解できた。
――瓦礫の下に埋まっていたのを助けられたのか?
だったら、なんで病院ではないんだ?――
疑問が次から次へと湧いてくる。
「あ~、わかんない」
思わず、呟いた自分の声がひどく掠れていることに気づいた。
――とりあえず、自分の状態から確かめよう――
†
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