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20XX年――
《東京》
「うぐわぁぁぁっ!!」
空気を切り裂くほどの男は叫ぶ。
そして――
ドカッ！
と、鈍い音。
男は、蹴り飛ばされ、コンクリートの壁にぶち当たる。
頭でも打ったのか、
ドサリッ
と、不自然な体勢でコンクリートの床に倒れ、そのまま動かなくなってしまった。
「情けないなぁ。
たった一発で動かなくなるなんて」
この場の雰囲気に似つかわしくない子供特有の高い声――。
華奢な体格。
短い赤茶色の髪。
整っているが、綺麗よりも可愛らしいとか愛らしいという言葉が似合いそうな容姿。
現在は夜――
微かに射し込む月の光ではわかりずらいが、彼女の瞳の色は――灰色だった。
彼女の名は
朝木 怜(ｱｻｷ ﾚｲ)
荒廃し、危険な東京で誰からも頼らずに生きる少女。
己が生き残るために、戦い続けた猛者。
そして、いつの日か、
【最強の一匹狼】
と呼ばれるようになった。
黒い革服に、薄汚れた褐色のマントを身に纏い、二本のナイフで敵を薙ぎ倒す。
負けることは決してない。
――最強と……
†
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