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「テメェ!
和也になんてことしやがる」
怜を囲んでいる男の一人が怒鳴る。
――へぇ。
さっきの奴和也っていうんだ。
あれ?
和樹だったっけ?
どっちでもいいや。
どうせみんな……――
フッと怜は鼻で笑う。
「何が可笑しいだっ!」
「全員、同じ目に会うのに何、馬鹿なこといってるんだなあ、と思って」
「んだとぉ!!」
ざわりと周りにいる男達の殺気が強くなる。
怜は、楽しげに目を細めた。
「ま、適当に相手をしてあげるよ」
と、怜は武器を持たずに構えた。
「この、餓鬼!馬鹿にしゃがって!!」
「調子に乗るなよ!!」
「殺してやるっ!」
男たちは口々に怜を罵り刃物や銃などを構える。
殺気が辺りに充満し、独特の緊張感が漂う。
しかし、怜には殺気はまるでなく、それどこか、どこか楽しげな雰囲気さえも漂わせていた。
「さあ、楽しもうか」
緊迫した雰囲気に似合わない楽しげな口調で、怜は言う。
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