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その場に似つかわしくない子供らしい楽しげな様子に殺気だっていた男達の大半は怯む。
しかし、怯まない者もいた。
その男は怜を指差し、
「一対十だ。
いくら一匹狼だろうが、所詮は餓鬼。
一気にかかればこんなやっ…………」
しかし、彼はこれ以上言うことは、叶わなかった。
フワリッ
風が通ったと同時に彼は――……
死んでしまったから。
紅い血を……
噴水のように撒き散らして。
ぐらりと、男の躯が傾き、倒れたーー。
怜、意外の者は何が起きたのかわからなかったのだろう。
ただ茫然と、見ているだけでまるで、時が止まったようだった。
だが、ごろごろ、ごろごろと丸い何かが、隣に立っていた男の足に当たる。
男は反射的にそれを見てしまった。
月明かりで見えたそれは……
――先ほど殺された男の首だった。
†
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