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「では、構え…………」
沖田は前のめりの構えで、太刀先を下がり気味にした。
永倉がチラリと怜を見る。
怜は構えもせずにただ立って木刀を握っているだけだったので始めてもいいか、迷っているようだ。
「始めても構いませんよ」
怜は目線だけを永倉に向けて言った。
「…………始め!!」
ーー試合が開始した。
沖田の顔つきが変わった。
子供のような無邪気で優しげだった表情から冷たく鋭いものに変わる。
加えて殺気も凄い。
彼の殺気は道場の全てを包み込み、この場にいる者たちのほとんどが冷や汗を流し、手を握り締める。
「ふざけているんですか?」
珍しく怒りを滲ませ沖田は言った。
それもそのはずだ。
怜は未だに構えてない。
殺気もない上隙まみれだ。
だだ涼しい顔で沖田の殺気を受けている。
「どこがふざけてるの?
僕は真剣だよぉ」
戲け(オドケ)た調子で喋る怜。
その顔はーー子供のような無邪気な笑みを浮かべていた。
「後悔しますよ……」
沖田は鋭い掛け声と共に打ち込んできた。
†![image=390094329.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/390094329.jpg?width=800&format=jpg)
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