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「終わったな」
土方は静かに呟く。
この試合を観戦していた人達はもう勝負は決まったとそう思った。
バシィッ‼
「………なっ!」
思わず、声をあげてしまった。
土方だけではない、近藤も山南たちも驚愕して目を疑う。
隊士たちも然り。
「馬鹿な……総司の一撃を受け止めただとっ⁉」
そう、怜はあの隙だらけの状態で受け止めたのだ。
右手一本でーー
そしてそのまま鍔ぜり合いになった。
「くっ!」
相手は右手一本で木刀を持ち鍔ぜり合いをしているのに、全然押しかえすことができず、沖田は歯を噛み締めさらに力を込めた。
それでも怜は、沖田の力を物ともしてないようだ。
怜は、未だに無邪気な笑顔を浮かべている。
「だあぁぁぁ‼‼」
総司は渾身の力を込め、木刀を弾き返し距離をとる。
怜も後ろに飛び距離を取りそこで木刀を逆手に持ちかえ、腰を低くし、下の方に構えた。
怜にしてみればこれが基本的な構えなのだ。
だが、彼らにはあまり見慣れぬ構えらしくあたりはざわついた。
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