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一人の男が呟いた。
「化け物だ……」
と。
怜は、初めて不機嫌そうな表情を見せる。
「化け物なんて、ひどいね。
ただちょっと普通の人と違うだけなのにさ」
そう言いながら、歩み寄る怜。
しかし、
「来るなぁ!!
化け物っ!!」
その言葉に、ぴくりと反応して立ち止まってしまった。
一瞬で二人の人間を殺せる化け物に敵うはずはない……。
すでに、男達の戦意は喪失していた。
ただあるのは恐怖のみ。
「はぁ~……」
と、怜は小さく溜め息をつく。
少し俯いて、がりがりと乱暴に頭を掻き、
「なんだかなぁ~」
と、寂しそうに呟いた。
微かに肩も震えている。
しかし、怜は泣いていたわけではなかった。
「虐殺決定だね」
顔を上げたとき、彼女は無邪気な笑みを浮かべていた――……。
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