約束は

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沖田は天然理心流の定法である平晴眼の構えをとる。 怜にはその構えが何を意味するかはわからない。 ただーー ーーとてつもない技がくる。 それだけは理解できた。 怜は、我流でやってきたので型も技もない。 だから、僕はーー ーー全力で打ち込む‼ これが最後の一撃ーー 「「だああぁぁぁぁぁぁ‼‼‼」」 掛け声と共に、二人同時に駆け出した。 バシィッ‼ 木刀が交差する。 時が、止まった。 沖田と怜は、動かない。 幹部も隊士達も動かない。息を吸うことも忘れ、見入っていた。 カランッ 折れた木刀が乾いた音をたてて床に落ちる。 「……っ!」 時が動きだす。 半分に折れた木刀…… 音は一つ。 相手は折れていない。 負けてしまった……。 「…………参り……ました……」 悔しくて唇を噛み締めた。 あまりに壮絶な試合に呆然としていた審判の永倉は、はっと我に返り 「………し、勝負あり! 勝者ー沖田総司!!」 と高らかに宣言した。 †
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