隊士に

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「う……うう……部屋隅って誰だよ…… 一文字もあってないじゃねーか……うう……」 ついに泣き出す原田。 あまりに可哀想で、怜は原田の近くにしゃがんだ。 「……間違ってしまってごめんなさい……あの、貴方の名前は……うわっ!」 声をかけたら、原田はがばりと顔をあげる。 それはいい。 それはいいんだけど…… 「うわ~💧」 怜はこれ以上何とも言えなかった。 原田は本当に泣いていた。 顔はもう涙やら鼻水でぐしゃぐしゃ。 額は赤くて痛々しい。 こんなこと思ってはいけないことなんだがーー ーーキモい。 と怜は思ってしまった。 大の男が泣くとこんなに気持ち悪いものだとは思わなかった。 怜は、ドン引きしてしまう。 「……うう……俺ってば、こんなに優しくされたの、久しぶりだぁ……」 原田は怜がドン引きしているのに気づかなかったようで、ぐじぐじと着物の袖口で涙を拭いながら上体を起こす。 ーー優しくって……僕はただ声をかけただけなんですけど……ーー 「……俺は原田左之助……お前って異人だけどすっげ~優しいな~」 と本当に嬉しそうに言い、ギュウと怜の両手を握り込む。 ーー泣き止んだけど、これで手を振りほどいたらまた泣くよな。 泣かれるとキモいから、 それならしばらくの間手ぐらいいいかーー それで仕方なく怜は握られたまま大人しくしていた。 ガッ! 「いてぇ!」 原田は突然手を離した。 †image=394182246.jpg
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