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「総司ぃ~💦」
原田は情けない声をあげる。
「汚い手で怜さんに触らないでください♪」
言葉の端々にどこか苛立ちを含んで話す沖田。
笑顔なのだが目は全然笑ってない。
そして、まるで犬や猫にするようにグイッと怜の着物の襟の部分を掴んで自分の元に引き寄せた。
原田はそれで納得したように頷き、ニヤニヤと意味ありげな笑みを浮かべた。
「総司って、女に全然興味ないかと思ったらやっぱりだん…………」
最後まで言わせず沖田は蹴り飛ばした。
バキッ‼ゴンッ❗
原田は吹っ飛び、固い木の床に後頭部をぶつけた。
そして仰向けで倒れたままピクリとも動かなくなった。
「あれ大丈夫ですか?
動かないんですけど……」
やっと離された襟の部分を整えながら怜は聞いた。
「大丈夫ですよ。
いつもの事ですし、原田さんはあの程度では死にません」
「そう……ですか」
こう言ったものの怜から見たらあまり大丈夫そうではなかった。
だが、言葉には出さない。
下手をしたら自分も原田の二の舞になる危険性があるからだ。
“沖田に逆らうべからず”
この言葉は、怜の中にも遠巻きに傍観していた隊士達の中にもしっかりと刻まれた。
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