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「これは土方さんが詠んだ俳句です!
豊玉発句集というのですよ」
バーン、と効果音が付きそうなほど自信満々に沖田はそう言った。
そして彼はこう続ける。
「本当はこの楽しみを私で独り占めしたかったのですが、怜は特別です。
どうです。
面白いでしょ?」
人差し指を立てて、得意気に言っていた沖田であったが、怜は呆然と固まっていた。
――土方が……
俳句を……?――
「………………プッ……」
壬生浪士組では鬼の副長と呼ばれる土方が、俳句を詠んでいる所を想像してしまった怜は不覚にも吹き出してしまった。
「土方が俳句ぅ?
ダメ……似合わなすぎる……クク……」
一度笑いだしたら抑えが効かず、怜は肩を震わせながら笑ってしまっていた。
「そうですよね。
似合いませんよね!アハハハ」
沖田もお腹を押さえて思いっきり笑っている。
狭い部屋に、しばしの間笑い声のみが響き渡った。
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