10296人が本棚に入れています
本棚に追加
そして沖田はある句を見て実に楽しげにニヤリと笑う。
「ありましたよ、面白い句が」
沖田は一回ここで言葉を切る。
そして息を思いきり吸うと、
「春の草 五色までは――……」
「そぉぉぉうじぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」
彼が言い切る前に、屯所全体に響くのではないかと思う程の怒声が遮った。
ドタドタとした激しい足音。
それは徐々に此方へ近付いてきていて……
土方が姿を現した。
怜の部屋の前で仁王立ちをする土方。
怒っている土方など珍しくはないはずなのに、何でこんなに――……
怖いのだろうか。
背後に般若……どころではない。
怜の目にはどす黒いオーラのような土方から立ち上っているように見えて……
実際生えているわけないのに、土方の頭に角が生えているようにさえ見えてしまう。
†
最初のコメントを投稿しよう!