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抜かれた刀。
突き刺さるような土方の殺気が怜を襲う。
――これはもう、本気でヤバイね………――
「アハハ……」
今の状態の土方に何を言っても耳に入らないだろう。
身に覚えのないことを言われ、沖田のせいでもう、取り返しのつかない所まできてしまった。
おまけに嬉しくないことに、殺気の矛先は自分に向いているし……。
怜は、笑いたくもないのに力なく乾いた笑い声をあげた。
もう隙など窺っている暇はない。
早く、逃げなければ――……。
怜は然り気無くソロリと腰を上げ立ち上がろうとした。
しかし、
ガシリ
「!?」
突然、彼女は両肩を強く掴まれる。
何事かと思い後ろを見てみれば、沖田が腹黒いとしか表現できない笑みで、怜の肩をガッチリと掴んでいた。
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