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声が聞こえた方を見てみればそこには近藤がいた。
障子からひょっこりと上半身だけ覗かせた彼は、怜と目が合うとニッコリと親しげに笑う。
刀を抜いている土方も突然の近藤の登場に驚いたのか、目を見開き、口を中途半端に開けるという間抜けな顔をしていた。
しかし、近藤は怜だけを見ていて、土方に気付かなかったのか、彼女の方だけをジッと見て、部屋に入っていく。
「勝っちゃん。
どうしたんだ?
コイツの部屋になんか来て……」
近藤がわざわざ怜の部屋に来るなど彼女に用がある時しかないだろう。
近藤と怜の部屋は離れた場所にあるのだから……。
ここで初めて土方の存在に気づいたのか、彼の方を見ると近藤は笑顔ながらもどこか不思議そうな表情をしてこう言った。
「おや?
歳、どうしてここにいるんだい?
おまけに刀なんか抜いて」
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