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「近藤さん、近藤さん!
私もいますよ。
土方の方ばかり見ないで、私の事も見てくださいよ」
「おい、総司。
テメェ今、俺を呼び捨てに――……」
「おお。
総司もいたのか。
これは気づかなかったよ。
すまんな」
「………………」
土方の言葉を遮るように近藤はそう言った。
近藤が沖田の頭を撫で、彼が幸せそうに目を細めている中、土方は頬を引きつらせ固まっている。
それでも、額に青筋が浮かんでいるのを見つけた怜は、土方の中では怒りが高まっているであろうと推測することができた。
だが、近藤が遮ったため、怒鳴るに怒鳴れない状況。
恐らく、彼の中では行き場のない怒りが溜まっているであろう。
――憐れだね。土方……――
近藤が来たことによって、沖田の拘束から解放された怜は今、安全地帯と思われる部屋の隅に移動をしていて、完全に傍観者としてその様子を観察していた。
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