10296人が本棚に入れています
本棚に追加
「朝木君。
ちょっと私の部屋に来てくれるかい?」
そんな事を言いながらひょこりと首を傾げた近藤だが、厳つい彼がやっても全く可愛くない。
「……………………。
はい。いいですよ」
怜はそれを見なかったことにして、あっさりと承諾した。
ただ、単純に怜は近藤に付いていけば、沖田と土方から逃げられると思ったためだ。
今のあの二人に比べれば、絶対に近藤の方がマシだ。
「怜だけずるいです!
私も行ってもいいですか?」
怜と近藤が行こうとした時だった。
沖田は駄々をこねるようにそう言う。
怜がチラリと見てみれば、彼は手に持っている句集を、クシャクシャに丸めていた。
「テメェ!!
なんて事をしやがる!?」
それに平静でいられなかったのは土方だ。
彼は部屋の外にまで響き渡るのではないかと思う大声で怒鳴り散らすと、沖田から句集を素早く奪い返した。
皺が寄り、クシャクシャになった句集を、悲しそうな顔で見つめる土方。
が、彼はすぐにその句集を引っ張ったり撫でたりして皺を伸ばし始めた。
†
最初のコメントを投稿しよう!