怒る者、楽しむ者

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慌てて壁から後退するが、時すでに遅く。 壁を蹴り飛ばしこちらに急接近していた奴の体勢は、 くるりと空中で回転し、オーバーヘッドキックのそれへと変わっていた。 とっさにヴァルナを構え、直撃は避けたが。 ぱきぃぃ……ん。 圧倒的な勢いで繰り出された蹴りは、氷刃を砕き割り、ゆうゆうと私の脳天に突き刺さった。 かっ……ぁ…… 景色がぐちゃぐちゃになり。 頭の奥に、びきき、という音が響く。 墜落しながら、それでも揺れる視界と脳味噌をなんとかフル稼働させ、上を見据えた。 ……あいつ、が、しつこいのは……わかってる。 負けるわけには……いかない!
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