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奴が両腕を失っているとはいえ、油断しすぎた。
奴には……蹴り技もある。
しかし、奴の攻撃はもっと原始的かつ、効果的なものだった。
骨がのぞく口を大きく開き、私の肩に食らいついてきたトリスタン。
……っ!
犬歯が肉に食い込み、痛みに息が詰まる。
そして、三度目になる脱力感。
同時に、奴の千切れ消し飛んだ腕から、
急速に骨が創られ、筋が巡り、治癒されていく。
口からでも、還元できるのか…………!
そしてこの回復速度。
この速さで還元しているということは、それだけ速く私の生命力が奪われているということ……。
目が霞んでくる。
万事休す、か……
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