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ふと手のひらに暖かな脈動を感じ、意識がはっきりする。
ヴァルナ……?
はっとして周囲の状況を確かめる。
……そうだ。
あれを活用できればひょっとしたら……いや、確実に勝てる。
まだ終わりじゃない。先生の力を借りずに。
私だって、できるんだ!
私は今できる最高の力で、刃が途中で折れたヴァルナを、
トリスタンの首めがけ振り上げた。
奴はそれを、首を曲げて間一髪でかわし。
結果、奴の牙はより深く私の肩に食い込んだ。
トリスタンの頭蓋の、ぽっかり開いた目のくぼみからのぞく赤い光が、私に語りかけてくる。
勝つのは自分だ、とばかりに。
……水鳳輪廻。
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