怒る者、楽しむ者

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トリスタンが負けられなかった理由も、ありがとうの理由も、今となってはわからない。 死人に口無し。 あの人は、よく喋っていたけれど。 ふと視界がぐらつき、意識がどこかに行きそうになる。 ……はは。そういえば私も限界か。 震えている膝をいたわり、ゆっくりと床に座り込む。 血も生命力も……足りない。 ふがいないけど、今魔王様のお側に向かっても、足手まといになるだけだ。 と。 ――!! 薄ら寒い感覚が、私の背中を走り抜けていく。 凶兆……なのか? いや、ともかく。休んでばかりはいられなそうだ。 とりあえずクラゲさんを探して周りを見渡した時。 信じられない光景が、私の視界に飛び込んできた。
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