怒る者、楽しむ者

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もうわかってるだろうが! 俺様は、眼下にいる人間を見下ろしながら、声を張る。 てめぇの剣は俺様には通じねえんだよ! さっさと諦めやがったらどうなんだ!! 「…………」 緊迫した空気。返答は無し。 ともすれば、込み上げてくる暴虐に飲み込まれそうになっちまう。 竜側の好戦的な本性に。 だから敢えて口に出して、決意を明かす。 俺はてめぇが負けても命まではとらねぇ。 “絶対に奪わない”戦いをすると……そう誓ったからな。 だからてめぇは殺さねぇ! てめぇにも俺は殺せねぇ! さっさと剣を引きやがれ……ッ 言い終わり、顔が紅潮していくのがわかる。 やべぇ、恥ずい。 とか思ってると。 不意に、低い笑い声が漏れた。
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