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斬られた傷は浅い。
だが、クソバエ(?)の不可解な攻撃が俺様に効いているという事実が、受けた傷以上に深いダメージを与えていた。
バカな……あの野郎は剣しか使えないはず!
それに! 傷つけられるなら、なぜ最初から使わない!?
ざしゅっ。
どすっ。
足から翼にかけて続いた痛み、そして首の後ろから聞こえた声。
「言ったはずだ。奪われるだけの命はもう無いと。それだけ……この技は私の生命を削り尽くす」
かろうじて後ろを振り向く。
そこには分身でもしたみてぇに、クソバエの無数の光の残像。
その残像がそれぞれ動き、俺の身体を切り裂いている。
こんなもん……有り得るわけが…………
「――夢幻剣」
それが、最期の光景だった。
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